直接ではないけれど、殺していたかもしれない人に会って(2)


それまで、わたしの中の政治家のイメージは「いつも難しいことを話している、なんだか、こわいオジサン」でしかなかった。
でも「小泉さん」は、ちがった。なんといっても、外見がステキだった。
今までの、「ごっつい政治家のオジサン」ではなく「なんだかスマートで、ステキな男性」に見えたのだ。
しかも、三人いる息子さん達はとてもかっこよく、なんと一人は俳優さんになってしまった。
そして「小泉さん」には離婚歴があった。
政治家の人は家族円満をアピールするもので、離婚なんてしないと、思い込んでいたわたしは「この人は今までの政治家とは、なにかが違う!」と感じずにはいられなかった。
もう、わたしはこの「小泉首相」に「親近感」と「興味」が沸かずにはいられなかったのだ。
そんな匂いを察してか、テレビのワイドショーや夕方のニュース番組では
「小泉フィーバー」と称して「小泉さん」のことが、朝から晩まで流れていたように思う。
「純ちゃんまんじゅう」なるものが売られ「大人気です!」とレポーターが興奮気味に伝えていたり、相撲で優勝した貴乃花に「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!」と賛辞を送り「感動した!」が流行語になっていた。
「小泉さん」がいるところに、たくさんの人(主に女性)が集まり「純ちゃーん!」と声援が飛び、それに笑顔で手を振る「小泉首相」の映像がたくさん流れていた。
わたしは、それを見ながら「小泉さん」が「日本を、なにかいい方向に変えてくれるんじゃないか」という期待でいっぱいだった。

そんな中、テレビの中で「小泉さん」のことを、批判している人がいた。
佐高信さんという人だった。わたしは、びっくりしてしまった。
(小泉さんのことを悪く言う人が、いるなんて…!)
(せっかく「小泉さん」が日本をよくしようとしているのに、こうやって反対ばっかりしている人がいるから、いつまでたっても、話が進まないんだよ!)とさえ思った。
でも実際、わたしは「小泉さん」が何をしようとしているのか、ほとんど知らなかった。
「小泉さん」は「自民党をぶっ壊す!」と言っていたが、自民党の何をぶっこわすつもりなのか、そもそも、自分のいる政党をぶっ壊すって、どういうことなのか「構造改革なくして成長なし」とか「郵政民営化」も「聖域なき構造改革」も「三位一体改革」も、言葉は知っていても具体的に何をするのかは、わからなかった。
というか(何かするんだろう…)という認識だけで、わからなくてもよかったのだ。そんな、こむずかしいこと、本当は知りたくなかった。
「退屈」でしかなかった「政治」が「おもしろい」「なにか変わるかもしれない」「なんかわかんないけど、よくなりそう」と、思いたいだけだった。
だから、佐高信さんが具体的に「小泉さんの政策」の何を批判しているかも、ちゃんと理解もせずに、ただ、水をさされたような気がして(なんてことを言うオッサンなんだ)と不愉快になっていたのだった。

ある時、日本人がイラクで人質になっているというニュースが、目に入ってきた。

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